1級葬祭ディレクター僧侶の終活のお供

元葬儀担当者にして1級葬祭ディレクター現役僧侶が終活のお手伝いをさせていただきます。

葬儀屋さんの葬式②

どうもこんにちは

1級葬祭ディレクター僧侶はるくんパパです。

前回の記事では葬儀屋さんの葬式ということで記事にしましたが、ほとんど私が葬儀屋さんになった訳、葬儀屋さんとお坊さんの2重スケジュールな話になってしまいました。

 

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今回はもう少し葬儀について記事にしていこうと思います。

ずばり今回は

直葬・一日葬・家族葬・一般葬とは

こんな内容にしていきます。

当ブログを数多のサイトよりたどり着いて読んでくださっているような方(大変感謝しております)はきっとこの4つの葬儀について調べたり聞いたことがあったり今更いいよという方も多いと思います。

 

そもそもこの

直葬・一日葬・家族葬・一般葬

この言葉は葬儀屋さんの葬儀業界が勝手に作って勝手に広めた言葉に過ぎません。

お坊さんの中ではこんな葬儀の区分けはしていません。そしてこの言葉が世間に広まると焦ったのは葬儀屋さんですね。お坊さん業界でも少々困ったことにもなりましたが、それより大変なのは葬儀屋さん。

なぜかというと、葬儀屋さんは香典返し(引き出物)と料理の数が出ないと売り上げの面でかなり下がります。もちろんそこに依存していなく、他の要素で売り上げの出せる葬儀屋さんもいるでしょう。ですが、私のいた会社では困った、困ったと毎月の会議で上司や、役員から話が出ていました。

「いや、そもそも自分たちで作った言葉で苦しめられていて自爆もいいとこだよなぁ」

といつも思っていました。

 

ではそれぞれどのような葬儀なのか説明していきます

直葬(ちょくそう)

火葬式などとも言われたりしますが、広いホールなどを使わずに

病院から、安置先(自宅・ホールや会館の安置室)から火葬場へ行き火葬を行う方法

お坊さんや司式者を呼ばずに済ませてしまうことも多いが、安置先での読経や火葬場での火葬炉の前での読経または、火葬後にお骨でお寺の本堂などで葬儀をあげることもあります。一番費用がかからなく最低限の葬儀の方法です。

メリットとしては費用をかなり抑えることができる。葬儀に拘束される時間が少なくて済む。などがあります。

デメリットとしてはしっかりと葬儀を行っていないので気持ちの切り替えができない。故人様に申し訳ない気がする。火葬当日にどこからか香典を持って参列したいと何人もの人が来てしまって困った。費用を抑えたつもりなのに何だか結構な金額になってしまった。などがあります。

それでも大体ネット葬儀などでは10万前後、葬儀屋さんに頼むと10万~30万ぐらいかかります。この方法を専門でやっているような会社もあり直葬でも300万とかそんな話も聞いたこともあります。

 

一日葬(いちにちそう)

通夜を行わず、葬儀当日だけで済ませる方法

流れとしては安置先にて納棺し式場へ、葬儀を執り行いお別れの後火葬場へ

といった感じです。中には火葬が葬儀の前になることもあります。

こちらはほとんどの場合はお坊さんや司式者を頼んで葬儀を執り行います。ただ注意点としてはお坊さんがネット葬儀からの派遣お坊さんや葬儀屋さんの紹介お坊さんなどは問題ありませんが、決まっているお寺「菩提寺」である場合は通夜はどんなに少人数でも行うというお寺さんもあるということです。

これは僧侶の立場からですととても当たりまえのことで、通夜式は決してただただ読経して焼香をしている訳ではなく意味があって通夜をしています。得度といって出家の作法だったり、授戒といって戒律を授けていたり、お寺や宗派によってその内容は様々ですが決して省略できるような内容ではありません。

なのでどうしてもと喪主様が希望された場合は通夜の作法も葬儀とあわせて行うのでと葬儀の時間が長くなったり、結局通夜も行うことになったりとそんなこともありました。なので菩提寺があるのであれば生前からしっかりと住職と話をして一日葬でできないか相談をしておきましょう。

また、最近では葬儀よりも通夜の方が弔問者(焼香に来る人)が多い場合が多く一日葬にしていまったが為に来てほしかった大切な人が来れないということもあります。中には通夜だけして翌日は火葬だけのようなこともあります。

一日葬にすると集まるのが一日だけで済むので親戚や家族の負担を減らせたり、料理も1回だけで済む、そもそも一日葬だと家族だけのような印象になりやすいので葬儀事態も小規模で済むといったメリットもあります。

最近の葬儀としては直葬(火葬式)かこの一日葬を選ぶ方が多くいる印象です。

 

   

家族葬(かぞくそう)

基本的な考えとしては家族と極々近しい親戚だけが参列する葬儀

そもそもこんな言葉を作ってしまった葬儀屋業界が悪いんですけどね。

もちろん葬儀業界が勝手に作った言葉なので家族葬の定義なんてものはありません。よく生前の葬儀相談や実際の葬儀の打ち合わせで

家族葬ってどこまで呼んでいいんですか?どこまでが家族葬なんですか?」

このような質問はよくされました。

私はそんなときは

家族葬の定義はありません。簡単に言うなら規模の小さな葬儀です」

こう答えていました。それ以上でもそれ以下でもないんです。

私の住む地域は田舎なので家の地域ごとでの組合「隣組」というものが存在します。(隣保班なんて言い方もあります)葬儀の際にはこの隣組に受付の手伝いなどをお願いするのが一般的なのですが、家族葬の場合にこの近所だけには来てもらいたい。とか

受付の手伝いだけ頼みたい。そもそも近所にはきてほしくない。など様々で隣の家にだけは伝えたら地域全体に広まってしまった。

また長年勤めていた会社の人には来てもらいたいや、親しかった友人には来てもらいたい。といったこともあります。もちろん断る理由もないですし葬儀のことを伝えていただくのはいいのですが、しっかりと家族葬でやること、少人数での葬儀であることを伝えておかないとなりません。

一人に伝えたはずが葬儀が終わってみたら会葬者が200人を超えていた。家族葬なのに生花スタンド(供物)が100基以上注文が入って会場に飾りきらない。なんてことも以前はよくありました。最近は【家族葬】がだいぶ浸透したのであまり混乱はありませんが、数年前は

家族葬と言われたのだが行っていいのか、ダメなのかわからない」

家族葬と言われていたが会葬に来た」

家族葬だと香典は出していいのか?」

そんな問い合わせも多くありました。都市部ではそんなことも少ないのでしょうが、田舎では家族葬家族葬にならずに終わってしまったなんてこともよくあります。

では家族葬のメリットは何かというと近しい人だけでの参列なので気を使う必要がない。挨拶などに動き回る必要がないのでゆっくりと最後のお別れができる。他人の目がないので自分や故人の思い通りの式にできる。金銭的にも安くできる気がする。こんなことがあげられると思います。

デメリットはどこまで呼ぶかの判断が難しい。家族葬でやったが為に葬儀後に近所へ伝わりなぜ言わなかったのか怒られた。結果家族葬にはならなかった。葬儀後に家に香典を持ってくる人が毎日来て全然休める日がなかった。結局お金がかかってしまった

こんなことがあげられます。

ここのところの(2022年現在)コロナ関連のこともあり、以前にも増して家族葬を選ばれる人が多くなってきていますし、この状況に慣れてしまえば家族葬が普通の葬儀になっていくと私は思います。

 

一般葬(いっぱんそう)

家族葬に対する言葉としてこれまた葬儀業界が勝手に作った言葉、葬儀の形式。

従来通りのそれぞれの地域の葬儀のやりかたで行う葬儀

家族、親戚、親族はもちろん近所、会社、友人など故人様ゆかりの人や組織、喪主やその家族などの縁のある人たちにも声をかけて制限なく葬儀を行う方法。普通のイメージする葬儀といえばこの形だと思います。なので特に細かな説明は必要ないでしょうかね。葬儀屋さんにおまかせすればこの形での葬儀を勧められると思います。

メリットは従来通りなので混乱や戸惑いなどはなく進行してもらえる。参列や会葬の人も安心して葬儀へ参加できる。香典が多く入るので実際のかかった費用は安く済むこともある。通夜・葬儀の2日間で会葬の人もほとんど来てしまうので、葬儀後に家に来ることもあまりなく、葬儀が終わってからはゆっくり落ち着くことができる。お坊さんや司式者からも文句を言われる心配がない。

デメリットは人がたくさん来るのであわただしく時間が過ぎてしまい、ゆっくりと故人様との時間を取ることができなかった。食事もゆっくり食べることができなかった。支払いの費用が多額になることが多いのでたくさん支払いをした気がする

このようなことが言えると思います。

 

以上4種類の葬儀の簡単な説明とメリット、デメリットをあげました。(あくまで私個人の主観と経験によるものです)費用の面でアンダーラインを入れていたりしたのですが、直葬以外の一日葬・家族葬・一般葬では使う道具(葬具)は基本的にはほとんど変わりません。棺・骨壺・写真・会場費・祭壇費・花・霊柩車等です。他変わってくるのは式場が1日なのか2日なのか料理が1日分か2日分かなどが変わってくるところ。一般葬で大きくかわるのが香典返しと料理になってきます。しかし会葬や親戚からの香典でまかなえる部分もあるので実際には一般葬が一番安いなんてこともあるのです。

私も葬儀の打ち合わせで本当にお金がない、費用がかけられないのであれば火葬式を勧めましたし、ある程度は予算があるなら一般葬を勧めていました。でも自分で担当するなら家族葬が一番好きでしたね。一番故人様や喪主様へ寄り添っていられますし、心を込めて仕事ができている気がしたからです。もちろん会葬者が400名や600名来そうだという葬儀もそれだけの規模の葬儀を仕切って進行するのはやりがいもあって無事に終わったときの達成感もありましたけどね。

 

以上が葬儀屋さんの葬儀というか、私が葬儀屋さんをやっていたときの葬儀に対する考え方のようになってしまいました。まぁ葬儀の時などには担当の人にはこんな話聞けないと思いますので少しでも参考になれば幸いです。

 

次回からは僧侶(お坊さん)の葬儀について記事にしていきます。あまり専門的なことではなく、あくまで私の主観や経験で記事にしていきますのでよろしくお願いします。



それでは良い終活のお供となることを

合掌

 

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